物心ついたころからピアノに通っていた。
母曰く、お前がピアノをしたいといったからだと。
家には電子オルガンがあり、それで練習をしていた。
先生からはピアノとはタッチが違うから早くピアノを買ってくださいと言われていたらしい。
その電子ピアノは家の畳の部屋に置いてあるのだが、戸を開けて台所で食事の支度をしている母が振り返るとちょうど見えるところにあった。
どうしてもお母さん指の音を外してしまい、間違えると母が飛んできて、指を置きなおす。これがまた痛い。
何回かの間違いの時に、母が来ない。
あれっと思って振り返ると
包丁を持った母が鬼のような形相でこちらをにらみつけている。
その後、赤い糸を出してきて、指が青くなるほどきつく縛られた。
中古のピアノをかうこととなり、私が30歳になるまでの実家に置いてあった。
その後、実家が移動するタイミングで母がピアノはもう弾かないんだろ?捨てていいか
と言ってきた。
ピアノを捨てる?どこのうちにも娘が死んでも取ってあるけど?うちはだめなのね・・・
聞けばぴあのを置く場所を補強するのに金がかかること、移動や調律にもお金がかかるのでもう置きたくないとのことだった。
私が中学生の時に母がピアノを習いだした。
本当は自分が習ってみたかったそうだ。これには驚いた。